フリーランス臨床心理士になるまでの軌跡

フリーランス臨床心理士になるまでの軌跡

フリーの臨床心理士として活動するまでの記録をブログに残します。学習知識、考察、etc...

【対策・臨床心理学的地域援助】東京福祉大学大学院

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 東京福祉大学の試験対策に500字前後で文章をまとめてます

 

 

 

 

スクールカウンセラーが行う、教師への支援について、留意点を交えながら説明せよ(497)

 

 スクールカウンセラーの主要な業務は、臨床心理学的地域援助の実践である。たとえば、ある学級でいじめがあり、児童が不登校になってしまったとする。このような事例では個人対象の心理療法は効果的ではないので、SCは校長や教師などと連携し、コミュニティアプローチの支援を行う。その際、児童や学級への関与が最も強いのは学級担任なので、SCは学級担任をコンサルティとして、コンサルテーションを実施することが考えられる。

 

 ただし、学校臨床において、スクールカウンセラーと教師の関係は上下関係ではなく、学校運営に別の立場で関わる対等の関係である。そのため、教師への支援は信頼関係に基づく異業種との協働の一環として行われるべきである。SCは自分一人で問題を解決しようとするのではなく、コミュニティとしての活動を意識して、教育の専門家である教師の専門性を尊重し、連携を深めなければならない。

 

 同時に、学級担任は、その問題に疲弊したり、自己効力感を失ってる可能性もあるため、エンパワメントを実施することもありうる。いずれの場合も、不登校児童の復帰を目標としつつ、教師への心理学的支援を行うという間接的な援助となる。 

 

 

 

コミュニティアプローチと他のアプローチを対比させ、その意義と留意点を述べよ(523)

 

 コミュニティアプローチとは、臨床心理士の専門業務の1つである、臨床心理学的地域援助がこれに該当する。そして、コミュニティ・アプローチの実践は、従来型の臨床心理学的支援とは、様々な点で異なる。

 

 まず、支援の対象は、不適応状態にある個人ではなく、個人を取り巻くコミュニティである。また、心理療法のような、支援活動を臨床心理士一人で行うのではなく、コミュニティ成員との協働を想定する。そのような支援は、臨床心理士だけのものではなく、他領域の専門家や生活者のもつ能力・技能を活かすものとなる。そういった中で、臨床心理士の役割は心理療法のような直接的支援ではなく、活動を行う人々へのコンサルテーション、あるいは、活動を担う人々の連携(リエゾン)の構築など、間接的な関与も多くなる。

 

 コミュニティアプローチの目標は、病的な個人の治療ではなく、不適応状態の予防である。予防には、不適応に陥らないようにする1次予防、不適応の初期にある人々の重症化を防ぐ2次予防、不適応状態からの社会復帰を支援して再発を防ぐ3次予防の3種類がある。

 

 それらを実現するために、人間の不適応的な側面ではなく、個人の社会環境における自己効力感をエンパワメントすることが求められる。

 

 

地域援助で主要な位置をしめる”危機介入”について、その特徴と意義を述べよ。(510)

 

 

 危機とは、個人の経験する急激な状況変化や転機であり、発達において生じる発達的危機と、環境の激変によって生じる状況的危機の2種類に分けられる。これらの危機を経験した時、個人が習慣的に用いてきた対処法では解決せず、急速に恒常性を失い、強い苦痛や機能不全に陥ることを危機状況と呼ぶ。

 

 コミュニティ心理学では、危機状態を病気の様なネガティブな状態ではなく、成長を促進する転機として捉える。そのため、危機介入は個人の有能感を高める活動とされる。一方、危機介入が遅れるとPTSDなどの病的状態に陥る可能性もあるため、支援は即時的に開始しなければならない。

 

 実際の支援は危機アセスメントとラポールの形成から始まる。クライエントの安心感を確保し、介入計画を立てた上で、本人による問題の把握とそれに対する取り組みを支援する。この時に、クライエントは従来と異なる方略での問題解決を目指すので、知識や技術のサポートが必要となり、その支援はコミュニティの人的資源によって行われることを前提とする。

 

 これらの支援により、クライエントが危機を乗り越えられれば、本人の対処能力や有能感が高まり社会的に成長する。それが危機介入の目標である意義である。

 

 

 

スクールカウンセラーの担うべき仕事の内容、有効性、留意点について述べよ(497)

 

文部科学省スクールカウンセラー(以下SC)活用事業では、SCに対し、児童生徒の心理ケアの他、コミュニティアプローチを求めている。

 

 例えば、クラス内のいじめについて生徒から相談を受けた時、SCはその生徒のカウンセリングを担当し、心理的なケアを行う。ただ、いじめなどは学校組織の問題なので、個人対象の支援ではなく、コミュニティ・アプローチが有効である。SCは学校組織の問題に手出しできないため、校長や教員と連携し、情報交換をしたり、学級担任へのコンサルテーションをしたりすることで、学級内における問題の早期の終息を目指すことが必要だろう。

 

 また、バーンアウトなど、教職員の心理的問題に関する相談を求められることもある。この場合も、その教職員にはカウンセリングを通じたエンパワメントを行うが、それだけでは問題が解決しない可能性が高い。そのため、校長や他の教員との連携をはかり、コミュニティの改善を目指すのが有効だろう。

 

 ただし、SCは、学校組織外の専門家という立場であるため、学校と十分な信頼関係を作っておかないと連携が成立しない。そのため、教員との関係構築などを日常的に心がけることが重要である。

【対策・統計法編】文教大学大学院

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統計法

文教大学大学院の試験対策のため、150文字前後で統計法の用語をまとめてます。

 

 

 

実験法(162)

 実験法とは、独立変数のみ異なり、他は全て統制された2群を用意し、従属変数の比較を行う手法。実験法によるデータ収集は、因果関係を明らかにできるという利点があるが、実験という特殊な環境で起こったことが現実場面でも必ず起こるとは言い切れない。そのため、実験法から得られた知見については、現実場面に、適用できないという批判がある。

 

独立変数(146)

独立変数とは、実験法において、研究者が実験で操作する変数のことを指す。例えば、ある心理療法の効果を検証するるために、A群には心理療法Xを、B群には心理療法Yを割り当てた場合、どちらの群にどちらの心理療法を行うかは研究者が”操作”できるため、この場合、”心理療法”が独立変数に相当すると言える。

 

従属変数(148)

従属変数とは、実験法において測定される変数ことで、研究者が操作できないものを指す。例えば、ある心理療法の効果を検証するるために、A群には心理療法Xを、B群には心理療法Yを割り当てて、心理療法の効果を測定した場合、”心理療法の効果”が従属変数に相当する。なぜなら、心理療法の効果は研究者が操作できない。



交絡(187)

交絡とは、従属変数の変化に対して、独立変数以外の変数が影響を与えることを言う。例えば、ある授業法の効果を検証するために、A群には授業法Xを、B群には授業療法Yを割り当てたとする。しかし、A群が高いテスト得点を示しても、A群の方にもともと優秀な生徒が固まっていたとしたら、テスト結果(従属変数)が高かった原因に、生徒の素質が(剰余変数)影響を与えているかもしれない。

 

統制(168)

統制とは、剰余変数が従属変数に影響を与えないようにするために偏りのない状態にすること。例えば、ある授業法の効果を検証するために、A群には授業法Xを、B群には授業療法Yを割り当てたとする。この際に、A群とB群とで”学力”(剰余変数)に差があると、テストの結果(従属変数)に影響を与えるため、偏差値の平均が同じになるような統制が必要となる。



内的妥当性(175)

内的妥当性とは、独立変数と従属変数の因果関係の適切さのことを言い、剰余変数の十分な統制によって、交絡を防ぐことで確保される。例えば、ある授業法の効果を、生徒のほぼ全員が偏差値50である高校で検証するとする。仮に、テスト結果を左右する要因が生徒の”学力”と”授業法”のみであるとしたら、剰余変数である学力は統制されているため、内的妥当性は高いと言える。

 

 

 推測統計法(147)

推測統計法とは、標本を用いて母集団を推測する手法。対象集団を直接調べることが難しい場合、一部のデータを取り出して、そこから対象集団全体を推測する。この方法により、到底調べられないような、大集団についても調査することが可能となる。ただし、母集団を適切に推測するためには、無作為抽出が不可欠である。

 

無作為抽出(152)

無作為抽出とは、母集団の特徴を偏りなく持つように標本抽出することを指す。無作為抽出は、推測統計法で母集団を適切に推測するために用いる。そのため、無作為抽出が実現されなければ、母集団の推測が適切でなくなってしまう。しかし、完全なる無作為抽出の実現は困難とされるため、標本を大きくするなどの工夫が重要である。



外的妥当性(160)

結果を一般化する適切さのこと。外的妥当性は、適切な母集団の選定、無作為抽出、十分な標本の大きさによって確保される。そのため、特定の集団だけでなく、様々な対象に結果を当てはめることができる場合、外的妥当性が高いと言う。逆に、特定の集団のみに当てはまり、他の対象に結果を当てはめることができない場合、外的妥当性が低いと言う。




標準誤差(145)

標準誤差とは、標本が母集団の大きさと異なることから生じる誤差を数値化したもの。標準誤差は、標本が小さいほど大きくなり、標本が大きいほど小さくなるといった特徴がある。つまり、標準誤差が小さければ、精度の高い母集団の推測が可能となる。そのため、十分な標本の大きさは、外的妥当性の確保にも繋がる。


統計的仮説検定(165)

統計的仮説検定とは、標本で起こった状況が偶然か、偶然出ないかに注目して、統計的に判断することである。まず、ある事柄は偶然であるとする帰無仮説と、ある事柄は偶然ではないとする対立仮説を設定する。その後、対象の事柄が起こる確率を求め、有意水準以下であれば、帰無仮説は棄却される。その結果、対立仮説が採択され、偶然ではないと判断される。



帰無仮説(148)

統計的仮説検定において、棄却されることを目的に作られる仮説のこと。帰無仮説は、Aという事象は偶然である、AとBに差はない、という様な形式で設定される。帰無仮説の条件下で、p値有意水準以下であれば、帰無仮説は棄却され、対立仮説が採択される。その結果、対象となる事象は偶然ではないと結論づけられる。

 

対立仮説(141)

統計的仮説検定において、帰無仮説が棄却された時に採択される仮説のこと。対立仮説は、Aという事象は偶然ではない、AとBに差はあるという様な形式で設定される。帰無仮説の条件下で、p値有意水準以下であれば、帰無仮説は棄却され、対象となる事象が起こる確率は、偶然ではないと結論づけられる。




有意水準(151)

統計的仮説検定において、帰無仮説を棄却するかを判断する基準となる確率値のこと。多くの場合、1%か5%に設定され、p値が有意水準以下であれば、帰無仮説は棄却される。一方で、p値が有意水準を超えている場合、帰無仮説は棄却できず、明確な結論を述べることはできない。有意水準は、第1種の過誤を犯す確率に等しい。




第1種の過誤(118)

統計的仮説検定において、真である帰無仮説を棄却することにより生じる誤りのことをいう。第1種の誤りを犯す確率は、有意水準に等しい。そのため、有意水準が高いほど代位一種の過誤を犯す確率は高くなるが、低いほど第1種の過誤を犯す確率は下がる。



第2種の過誤(128)

統計的仮説検定において、偽である帰無仮説を棄却しないことにより生じる誤りのことをいう。第2種の過誤を犯す確率は、1-有意水準である。そのため、有意水準が低くなるほど、第2種の過誤を犯す確率は高くなり、逆に有意水準が高いほど第2種の過誤を犯す確率は低くなる。



片側検定(152)

対立仮説の設け方には、”A君とB君の身長に差がある”という場合と、”A君はB君よりも身長が高い”という場合がある。後者の様に、A君の身長がB君より低い可能性を排除した対立仮説を設けて検定することを片側検定と呼ぶ。片側検定は、両側検定よりも差を検出しやすいが、片側検定を行う根拠がなければならないとされる。



両側検定(138)

対立仮説の設け方には、”A君とB君の身長に差がある”という場合と、”A君はB君よりも身長が高い”という場合がある。前者の様に、A君の身長がB君より高い場合と低い場合の両方の可能性を含めて対立仮説を設けて検定することを両側検定と呼ぶ。心理学では一般的に、この両側検定が用いられる。

 

 

t検定(163)

t検定とは、2群の平均値の差が、誤差か有意差か判定する統計的仮説検定のことで、無作為抽出、母集団の正規性、母分散の等質性といった3つの仮定が必要とされる。2群の平均値の差が誤差であるという帰無仮説を立て、それを棄却することで、有意差を示す。また、t検定には対応のある検定と対応のないt検定の2種類があり、使い分けも必要である。

 

分散分析(149)

分散分析とは、3群以上の平均値の差を検定する統計的仮説検定のこと。無作為抽出、母集団の正規性、母分散の等質性といった3つの仮定が必要とされる。t検定と異なり、帰無仮説が棄却された段階では、有意差の数と場所が特定されてないため、事後検定として、多重比較を必要とする。主に用いられるのは、テューキー法。

 

要因計画(152)

要因計画とは、2つ以上の要因を組み合わせた研究計画のことをいう。要因計画内では、独立変数のことを要因と呼び、要因の違いのことを水準と呼ぶ。また、要因は、水準間で被験者が異なる被験者間要因と、要因内の全ての水準が同じ被験者である被験者内要因に分けることができ、それらを組み合わせた要因計画を混合計画と呼ぶ。

 

交互作用(163)

要因計画において、ある要因の効果がもう片方の要因によって異なるという結果が現れ他場合、それを交互作用と表現する。これは、1つの要因が、もう片方の要因の影響とは関係なく、単独で効果をもたらす主効果と区別される。要因計画を実施する場合、主効果だけでは2つの要因を組み合わせてる意味がないため、交互作用を目指して仮説を立て検証する。

 

主成分析(150)

主成分分析とは、複数の変数を1つの主成分に合成することを目的とする分析。複数の因子を想定する因子分析とは、1つの主成分への合成を目指す点で異なる。例えば、5科目の得点があった場合に、そのまま合計特典を求めたのでは、平均値や分散が異なるため、各教科の得点に重み付けを与えて式を算出し、合成得点を求める。

 

直交回転(114)

直交回転とは、因子軸の回転手法の1つで、分析後の因子を解釈しやすい構造に近づけるために軸を回転させること。代表的例に、バリマックス法がある。これは、因子間の相関が想定されない場合に用いられ、その特徴は、回転後も軸が90度なこと。

 

斜交回転(116)

斜交回転とは、因子軸の回転手法の1つで、分析後の因子を解釈しやすい構造に近づけるために軸を回転させること。代表的例に、プロマックス法がある。これは、因子間の相関が想定される場合に用いられ、その特徴は、回転後も軸が90度ではないこと。

 

重回帰分析(158)

重回帰分析とは、複数の独立変数から1つの従属変数を予測するための、重回帰式の作成を目的とした分析である。重回帰分析によって算出された標準偏回帰係数を用いて、各独立変数の、従属変数への影響力を比較することが可能である。ただし、多重共線性の問題から、独立変数間の相関が強くならないよう、独立変数を選定することが望ましい。

 

メタ分析(153)

統計的処理が行われた研究論文を収集し、それらの結果を統合して分析することで、より制度の高い結論を導く手法。例えば、ある心理療法の効果を検証したこれまでの先行研究のメタ分析を行うと、その心理療法の効果をより高い見地から判断することができる。メタ分析では、治療や介入の効果を判断する基準として効果量を測定する。

【対策・臨床心理士の職域】東京福祉大学大学院

 

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臨床心理士の職域

東京福祉大学の試験対策に500字前後で文章をまとめてます。

 

 

 

悩み相談とカウンセリングの違い(506)

 

臨床心理士が行うカウンセリングと友人にする悩み相談では以下のような違いがある。

 

 第一に、関係性についての違いがある。通常、悩み相談は、友人や知人などそれ以前からの関係性に基づいて行われる。一方、臨床心理士が行うカウンセリングは、それ以前に関係性はなく、クライエントとの関係は治療契約であり多重関係を持たない。

 

 第二に、治療の枠組みに関する違いがある。悩み相談の場合、日時、場所、時間、面談方法など決まってないことがほとんどである。一方、カウンセリングの場合、心理検査を行い、治療仮説と計画を立て、インフォームドコンセントを得た上で、治療契約を結ぶ。そのため、日時や場所、面談方法なども決まっており、守秘義務も発生する。

 

 第三に、相談の際に寄って立つものに違いがある。悩み相談の場合、友人や知人は、自身の経験や人間観、に基づいてアドバイスするといった形で相談者の悩みに反応することが多い。一方、臨床心理士が行うカウンセリングは、科学的根拠に基づいて相談者に介入すると共に、基本的にアドバイスをすることはなく、クライエントが自分で自分の悩みを解決するための支援をするという姿勢で接するのである。

 

 

臨床心理士の役割とその専門性を他の職域と比較しながら述べよ(510)

 

 臨床心理士とは、心理学的な専門知識や技術に基づき、クライエントを尊重しつつ、生活上の適応を支援する専門職業人に対して認められる資格である。臨床心理士の成すべき業務としては、臨床心理査定、臨床心理面接、臨床心理学的地域援助、研究の4つが規定されており、これら全てについて高度な専門性が求められる。

 

 臨床心理士と比較的職域が近いのは、精神科医精神保健福祉士などであるが、これらの専門職とは以下の様な違いがある。

 まず、精神科医は、精神的な病気・障害の診断に基づいてその治療を行うことが仕事である。また、精神保健福祉士は、福祉行政の枠組みの中で精神障害者への生活上のアドバイスやサポートが仕事である。それに対し、臨床心理士は、対処者を問わず、査定に基づいて社会適応への心理学的支援をすることが仕事である。

 

 そのため、臨床心理士は、病気が治った後の社会適応の援助を考慮している点で精神科医とは異なり、対象者を精神障害者に限定しないという点で、精神保健福祉士とは異な

るため、臨床心理士の専門性が確保されている。

 

 つまり、以上の様な専門性を活かし、クライエントの生活の再適応に携わることが、臨床心理士の役割であり、存在意義となる。

 

 

 

スーパービジョンの意義とその注意点について述べよ(500)

 スーパービジョンとは、臨床心理士がその専門性の向上のため、自分よりも経験豊かな臨床家から、特定の臨床事例について指導・助言を受けることである。この時、指導を受ける側をスーパーバイジー、指導する側をスーパーバイザーと呼ぶ。

 

 心理臨床の実践的な技術や着眼点は、臨床でしか培うことができない。そのため、経験の浅い初学者の場合、スーパービジョンを受けて自らの不足を補わないと、クライエントに適切な支援を提供できない可能性がある。また、初学者のみならず、経験を積んだ臨床家であっても、自身の偏った視点を指摘してもらったり、一層の技術向上を目指したりするためには、スーパービジョンを受けることが望ましい。

 

また、スーパービジョンは、ただの専門性の向上だけでなく、臨床心理士自身の精神的安定を図る目的もある。これにより、クライエントの立場を追体験することも可能となり、よりクライエントに共感できるようにもなる。

 

 ただし、バイザー頼みにならない様に注意もせねばならない。確かに、バイザーは、バイジーに助言や指導をされるがそれが全てではない。そのため、スーパービジョンで得たものを糧に、自分で考えていかなければならない。

 

 

 

スーパービジョンとコンサルテーションの異同を述べよ。(509)

 

スーパービジョンとコンサルテーションはどちらも臨床心理士が行う介入支援であり、間接的にクライエントに関わる点では共通しているが、以下の様な違いがある。

 

 第一に、対象とする相手に違いがある。コンサルテーションの場合、クライエントに直接関わっている領域の異なる専門家ないし非専門家を臨床心理士が支援する。一方、スーパービジョンの場合、領域が同じ専門家を対象とする。

 

 第二に、目的に違いがあある。コンサルテーションの場合、エンパワメントを目指す。つまり、個々の問題解決能力の底上げを援助するコミュニティ支援の1つとして位置付けられる。一方、スーパービジョンは、専門性の向上を目的として行われ、教育的な意味合いが強い。

 

 第三に、関係性について違いがある。コンサルテーションの場合、臨床家と専門家の関係は対等である。一方、スーパービジョンの場合、教える者と教わる者という意味合いがあるため、上下関係が存在する。

 

 第四に、責任の所在について違いがある。コンサルテーションの場合、助言をする臨床家がクライエントに対し責任を持つことはない。一方、スーパービジョンの場合、クライエントに対し、スーパーバイジー同様に責任を持つ必要がある。

 

 

臨床心理学における職業倫理について、インフォームドコンセント守秘義務・多重関係の3つを述べよ(502)

 

臨床心理学的支援は他者の人生を左右する可能性をはらむため、以下の様な倫理的配慮が必要である。

 まず、カウンセラーから十分な情報提供を受けたクライエントが、納得の上で支援を受けることに同意する必要がある。これをインフォームドコンセントと呼ぶ。この時、カウンセラーは治療仮説、治療計画などを可能な限り丁寧に説明しなければならない。

 次に、クライエントの秘密は保持されなければならない。カウンセリングの相談内容は守秘性の高い情報ばかりで、その秘密が守られると信じられるからこそ、クライエントは自己開示をすることができる。ただし、クライエントが自傷・他害の計画を告白した場合など、秘密を保持することが不利益をうむと判断される場合は、守秘義務は一時的に解除される。

 最後に、カウンセラーとクライエントの関係は、治療契約に基づく治療同盟でなければならない。その同盟に置いて、両者が治療枠を守ることによって、カウンセリングは治療的効果を持つ営為となる。そのため、カウンセラーという役割以外の個人的関係をクライエントとの間に形成する多重関係は禁止される。それは、関係性をあいまいにし、治療枠を壊す行為だからである。

 

 

 

心理臨床における秘密の取り扱いについて述べなさい。またその秘密の取り扱いの原則が解除される場合も具体例を交えて述べよ。(482)

 

 まず、心理臨床の場は、クライエントに対して秘密の保持を約束することによって成立するとも言える。すなわち、心理臨床の場において、クライエントについて知り得た情報については、一般に公表することはないことは当然であるが、クライエントの家族をはじめとした周囲の人々に対してもその情報を漏らす様なことをしないということである。

 

秘密の保持を遵守することにより、クライエントとセラピストの関係性の基盤が形成され保持される。この秘密の保持からの逸脱は、心理臨床実践における治療関係を揺るがすものとなるため、心理臨床実践の原則として最も重要な事柄と言える。

 

 その一方で、秘密の保持の原則が解除される場合も存在する。具体例としては、クライエントの自殺企図や過激な自己破壊的行動が生じる危険性がある場合に対処する危機介入場面がある。その場合、できる限りクライエントの了承を得た上で、一時的に守秘義務が解除され、家族やその他のキーパーソンと情報が共有される場合もある。さらに、教育臨床場面において同様の事態が生じた場合には、集団守秘義務として、教職員との間でその情報が共有される場合もある。

【対策・臨床心理査定(アセスメント)編】文教大学大学院

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文教大学大学院の専門試験対策向けに、心理療法に関する用語を150文字前後にまとめました。

 

今回のテーマは、臨床心理査定(アセスメント)です。

 

 

インテーク面接(165文字)

インテーク面接とは、クライエントから相談依頼を受けた後に、最初に行う面接のこと。インテークは、カウンセラーとクライエントの間で、治療同盟を結ぶ目的で行われ、ラポールの形成、臨床心理査定、治療仮説をたて、治療目標を設定し、インフォームドコンセントを得ることも含まれる。そのため、その後の支援を円滑にするために非常に重要な意義がある。

 



実験法(164文字)

 

実験法とは、独立変数のみ異なり、他は全て統制された2群を用意し、従属変数の比較を行う手法。実験法によるデータ収集は、因果関係を明らかにできるという利点がある。ただし、実験という特殊な環境で起こったことが現実場面でも必ず起こるとは言い切れない。そのため、実験法から得られた知見については、現実場面に、適用できないという批判がある。

 

質問紙法(150文字)

質問紙法とは、質問紙を配布しそこに記入を求めることで、データを集める手法。質問紙法は、実験法と比較して実施が容易で、しかも多くの人数からデータを集めることができるため、広く用いられる。一方で、質問紙法の欠点には、現実自己ではない理想自己が反映されなど、回答の歪みが生じやすいことが挙げられる。



観察法(149文字)

観察法は、調査者自身が調査対象を、直接観察して把握する手法。観察法は、言語を必要としないため特に言語が困難な対象に適用できるというメリットがある。欠点としてはあくまで自然な行動を対象とするため、観察対象の行動が静止するまで待たねばならないこや、データの収集に、観察者の主観が含まれる点が挙げられる。

 

面接法(143文字)

面接法は、調査者が被調査者に直接質問して、口頭で回答を求める手法。面接法は、服装や髪型、視線や仕草、声色や話し方などの、非言語的情報収集が可能な点で有用である。しかし、情報の収集にあたり、調査者の主観が入りやすいことや、数量化が困難であるため、得られた知見を一般化することが困難である。



テストバッテリー(160)

テストバッテリーとは、複数の検査を組み合わせて用いることを言う。臨床心理査定において、心理検査は、クライエントの性格や行動など、パーソナリティの理解を目的とする。しかし、1つの心理検査で捉えられるパーソナリティは限定的であり、また、各検査法には固有の欠点があるため、これらを補完するために、テストバッテリーが推奨される。

【対策・研究法編】文教大学大学院

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文教大学大学院の専門試験対策向けに、研究法に関する用語を150文字前後にまとめました。

 

今回のテーマは、研究法です。

 

 

 

尺度水準(179文字)

尺度水準とは、測定された数を、その数の意味や性質に沿って分類する基準のことで、以下の4つがある。1つは、等間隔性があり絶対原点を持つ比例尺度、2つ目は、等間隔性はあるが、絶対原点を持たない間隔尺度。3つ目は、等間隔性がなく、大小関係をもつ順序尺度。4つ目は、等間隔性も大小関係もない分類のみを表す名義尺度。尺度水準が名義尺度に近づくほど統計処理は困難になる。

 

 

リッカート法151文字

「良いー普通ー悪い」といった評価に対して、それぞれ得点を割り振ることで、評価を数量化する手法。リッカート法は、等間隔性を持たず、数値の大小関係のみを示す、順序尺度と考えられる。例えば、良いに3、普通に2、悪いに1が割り振られていたとしても3と2の間隔が、2と1の間隔と等しいという保証がないからである。


法則定立的研究(134文字)

法則定立的研究とは、人間の心や行動に関する普遍的で一般的な法則を導き出すことを目的とする研究のことである。心理学が、「哲学的な思想で人の心を語るのではなく、客観的なデータを収集し、それを明確な根拠として人の心に関する理論を構築する科学」だと考える基盤になっている研究。

 

個性記述的研究(145文字)

個性記述的研究は、自然な現実場面で、時間の経過とともに変化する特定の個人をありのまま記述していくことを目的とする研究。あくまで個人の記述であるため、得られた知見を一般化することは難しいが、法則定立的研究で導かれるような一般法則では分からない個人の微細な側面を総合的に捉えることが可能である。



度数分布表(156)

データの度数をまとめた表のことで、度数とは、ある値を示すデータの個数のこと。度数分布表からヒストグラムを作成することで、データの特徴を直感的に理解し、分析の方向性を確認したり、逸脱データを発見したりすることができる。また、データの値範囲が広い場合は、階級と呼ばれる幅の設定をしデータを捉えやすくすることができる。



代表値(170)

代表値とは、その名の通り、データを代表する値のことを示し、平均値、中央値、最頻値の3つがある。平均値は、データの総和を度数の総計で割った値。統計処理には向いていいるが外れ値に弱い。中央値は、データを大小順に並べた時に中央に位置する値。最頻値は、度数の値が最も大きい値のこと。中央値と最頻値は、統計処理に向かないが、外れ値の影響を受けにくい。



正規分布(159)

ヒストグラムが、完全に左右対称で釣鐘状の形になった度数分布のことをいう。正規分布は、以下のような特徴を有している。第一に、平均値を中心に左右対称。第二に、平均値±SDの範囲に全体の68.3%が含まれる。第三に、平均値とSDの値により形状が変化する。第四に、実際の分布ではなく、理論的に得られた理想的な分布のことである。



標準化(160)

標準偏差とは、平均値や標準偏差が異なるデータを比較可能な状態にする手続きのこと。具体的には、平均から標準偏差いくつ分離れているかを表す標準得点を求め、平均からの距離で比較を行う方法である。平均値やSDが異なっているとそれぞれの数値の持つ意味が異なってくるため、得点を単純比較することができないために、標準化が必要となる。

 

相関係数(156)

2つの変数の関連の強さを表す値のことをいう。この値は-1から+1の範囲をとり、±1に近いほど相関が強く、0に近いほど無相関となる。相関係数がマイナスになる時は、ある変数の値が大きければ大きいほど、片方の変数が小さくなり、これを負の相関と呼ぶ。一方で、ある変数に比例して片方の変数が大きくなることを正の相関と呼ぶ。



因果関係(167)

因果関係とは、明確な”原因と結果”が存在する共変関係のことであり、相関関係があるから因果関係があるわけでは無い。因果関係の成立には、以下の3つの条件が必要。まず、原因が結果よりも時間的に先行していること。次に、因果関係に、必然性と整合性があること。最後に、他の変数を取り除いても、原因と結果に相関関係があることの以上3つがあげられる。